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外国人労働者を巡る動向について

更新日:2021年9月16日

日本の労働人口が減少しているなか、国全体で人手不足解消のための対策を講じる必要がある一方で、高度な知識・技能を有する人材に対する国際的な人材獲得競争が激化しています。

このような背景のなか、2019年4月より改正入国管理法が施行されました。

それまでは、わが国では「専門的・技術的分野」の高度人材しか受け入れられてきませんでしたが、この法改正によって、新たな在留資格として「特定技能」が設けられ、「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」(*1)と定義される「特定技能1号」と「特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」(*1)の2つが導入されました。

1号は、介護、外食業、建設業、農業、宿泊業など人手不足が深刻な14業種のいずれかに従事する、2号に比べ単純労働者に近い人たちが対象となっています。2号は、より専門技術的な労働者が対象となり、1号には認められていない家族の帯同が可能なことと、1号では通算5年という在留期間が限定されているのに対し、何度でも在留資格が更新できる点が異なります。

これまでの「技能実習制度」では、外国人を「実習制度」の名のもとに最低賃金以下で雇うための隠れ蓑のように悪用する事業主が多く見られ、様々な人権侵害や失踪などのトラブルが後を絶ちませんでした。これに代わるものとして、また、減少する一方のわが国の労働力を保管するための新たな制度として鳴り物入りで特定技能制度が始まりました。

ところが、初年度に最大約4万7000人を見込んでいた特定技能資格での入国者は、2019年12月末までの累計でわずか1,621人(*2)に留まっています。

その一方で技能実習生の数は増加しており、直近発表の資料によると2019年6月末時点で36万7,709人(前年末比+12%)とのことで、半年で4万人近く増えているようです(*3)。

その背景には、手続きの煩雑さに加え送り出す側の対応が追いついていない等の問題がありそうですが、技能実習制度の問題点を改善する目的で導入された特定技能資格制度が機能しなければ、外国人労働者をめぐるトラブルは解消するどころか、むしろ悪化しかねないことが懸念されます。


出典:

*1 法務省:新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組(在留資格「特定技能」の創設等)


*2 出入国管理庁:特定技能1号在留外国人数(令和元年12月末現在)概要版


*3 法務省:令和元年6月末現在における在留外国人数について(速報値)


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