国際協力機構(JICA)が事務局を務め、ACEも会員団体として活動に参画している「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」(以下、プラットフォーム)(*1)は、2024年2月7日、プラットフォーム参加団体による児童労働撤廃に向けた具体的な取組状況をまとめた「児童労働撤廃に向けたセクター別アクション賛同組織の取り組み状況レポート」(以下、レポート)を発表しました。
2022年9月に、プラットフォームの団体会員の中で特に児童労働問題の解決をめざす企業やNGOが中心となり、「児童労働の撤廃に向けたセクター別アクション」(以下、セクター別アクション)を策定しました。このセクター別アクションは、カカオ産業に関連する企業がサプライチェーン上の人権課題の一つである児童労働に関するリスクを把握、予防、軽減するための実務的なガイダンスとして活用されることを期待し、企業のサプライチェーンにおける人権尊重の具体的な取組を促進するために、業界内のそれぞれの立場から期待される具体的な行動を示したものです。
この度のレポートは、「調達比率」や「産地特定とリスク調査」、「生産地支援」など、セクター別アクションに定められた9つの項目ごとに、同セクター別アクションに賛同を表明した17企業/団体による児童労働撤廃に向けた取り組みの実施状況をまとめたものです。
レポートには、ACEと江崎グリコ株式会社との同社カカオ調達地における児童労働撤廃に向けた協働事例や森永製菓株式会社との連携、ACE独自の現地支援活動「スマイル・ガーナ プロジェクト」が、児童労働の「是正措置」や「生産地支援」の好事例としてまとめられています。また、2018年からACEが仕組み構築の過程で技術支援をしている、ガーナ政府の進める行政制度「児童労働フリーゾーン(CLFZs)」認定制度についても、同じく是正措置の主要な手法の一つとしてレポート内で紹介されました。
また、「消費者エンゲージメント」の取り組みの一貫として、業界連携によるカカオ産業の課題への取り組みについて複数のプラットフォーム会員企業/組織による合同講演を行うなど、加盟組織同士の連携および他産業への事例共有にも力を入れています。
同セクター別アクションの実行および今後の継続的なレポート発行が、業界による全体的な取り組みを底上げするとともに、それがカカオ生産地全体の児童労働撤廃への大きな貢献となることを期待しています。
ACEとしては、「マルチステークホルダー連携」と「生産地支援」が特に重要と考えており、本プラットフォームの活動を通じた政府、国際機関、企業、NGO等による連携強化に貢献し、ガーナのCLFZsを構築・拡大していくことで、児童労働撤廃へのより大きなインパクトを実現していけるよう、これからもより一層の努力で取り組んでまいります。
(*1) サステイナブル・カカオ・プラットフォームとは
「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」は、持続可能なカカオ産業の実現を目標に、JICAが事務局となり、2020年1月に設立。多様な関係者がカカオ産業の抱える課題の解決に向け、共創・協働するための「場」を提供しており、業界団体、食品メーカー、商社、NGO、コンサルティング企業など59団体、127個人が参加しています(2024年1月時点)。
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