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カカオ産業の抱える課題に関する共同報告書Cocoa Barometer 2022を発行しました。

VOICE networkは2022年12月7日、カカオ産業の抱える課題に関する共同報告書Cocoa Barometer 2022を発行しました。本報告書は、ACEを含む世界各地の28の市民社会組織によって共同で作成されました。


Cacao Barometer 2022では、児童労働や森林破壊など世界のカカオのサプライチェーンが抱える課題は、カカオ豆の取引価格の引き上げを組み合わせて取り組まなければ全体での解決が難しいとしています。特に、児童労働、ジェンダー不平等、(乳幼児の)栄養不良、教育へのアクセス不足、医療施設や衛生の不足、小農や労働者、小作人の人権侵害など、カカオ農家とその家族は未ださまざま課題に直面しています。森林伐採や気候変動などの環境問題も、依然として大きな懸念材料となっています。


貧困対策としてカカオの増産をめざす国内外の政府によるトップダウンの戦略は、チョコレート産業を支援する一方で、上述の課題に対処できない傾向があります。しかし、カカオ農家にとって収益が大幅に増えなければ、これらの課題に対処するカカオ農家の負担は増える一方です。生産国における生活費高騰も、西アフリカのカカオ農家の生活をさらに圧迫しています。

「今までは、カカオ豆の販売で得た収入で計画的に生活することができました。

でも今はとても厳しいです。予想をはるかに超えた物価高になっています。

子どもたちの学費を工面するのも大変です。」

コートジボワール南西部のカカオ組合ECAM

ヤオ・クアメ・マルティアさん

この報告書によると、カカオの増産は必要な資源や労働などのコスト増加につながり、むしろ農家の手取りの収入を少なくすることがデータと共に明らかになりました。カカオの価格そのものを上げることをしない限りは、(カカオの)生産性向上と(収入手段の)多様化をめざした介入支援だけでは、生活所得のギャップをうめる最終的な効果は望めないことがわかりました。

VOICE networkのディレクター、アントニー・ファウンテン氏は、「生産性向上や農地面積の拡大は、世界のカカオ・サプライチェーンに存在する無数の課題解決において単独では決して機能しません」と述べ、「生活所得の格差を是正するためには、より高い価格を支払うことが不可欠です。生活所得を埋めるためにコートジボワールとガーナで行われている介入は必要な最初のステップですが、農産物価格を確実に上げるために、企業はそれ以上のことを実施する必要があります」と述べています。


過去20年間、カカオセクターでの支援内容のほとんどは、農家自身に焦点を当てたもので、持続可能性にかかる課題に取り組むために必要な政府の政策や購買慣行の改革には手が付けられないままでした。本報告書では、課題解決のためには、公的機関による政策の改善、民間企業による購買活動の改善、農家による農業実践の改善の、3つの側面で行動を起こす必要があると結論づけています。


その中で、カカオを含むグローバルなサプライチェーンにおける環境及び人権侵害の予防と是正を目的とした「デュー・デリジェンス法案」制定に向けたEUの昨今の取り組みは、より透明性の高いサプライチェーンの実現に向けた第一歩として歓迎されるものです。これは、企業が調達慣行について説明責任を果たすために不可欠なものですが、このような前向きな政策展開も企業がすぐに行動を起こさなければ、最終的には無意味なものになってしまいます。


本報告書は、カカオ生産国やカカオ農家が直面している各課題の現状と、政府、企業、農家に対する提言をまとめました。課題への理解と、各立場に応じたアクションにつなげていただけることを期待しています。ぜひお読みください。


本報告書に掲載された写真やインフォグラフィックは、こちらのリンクからご自由にご覧ください(英語)。https://voicenetwork.cc/press/

Cacao Barometerについて

Cacao Barometerは、持続可能なカカオ産業の実現をめざす、グローバルな市民社会組織ネットワークVOICE networkにより隔年で発行されています。


VOICE network加盟団体

ABVV/Horval, Action against Child Exploitation (ACE), Be Slavery Free, EcoCare, European Federation of Food, Agriculture and Tourism Trade Unions (EFFAT), Fair World Project, Fern, Freedom United, Green America, IDEF, Inades Formation, INKOTA-netzwerk, Global Labor Justice/International Labor Rights Forum, Mighty Earth, Oxfam America, Oxfam Belgium, Oxfam Ghana, Oxfam Novib, Public Eye, Rikolto, Roscidet, SEND Ghana, Solidaridad, Südwind Institut, Tropenbos International, Tropenbos Ghana, WWF France

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