G7サミット(主要7カ国首脳会議)に先立って、ACEは世界のNGOなどとともに、G7首脳に対してオープン・レター(公開状)「G7首脳による強制労働に対する協調行動の必要性」を出しました。2021年6月13日に発表されたG7首脳宣言には、グローバル・サプライチェーンにおける強制労働根絶へのコミットメントが示されました
持続可能な開発目標(SDGs)8、ターゲット7には、「強制労働の廃絶、現代の奴隷制度および人身取引の廃止、2025年までの児童労働撤廃」が掲げられています。世界では、2500万人もの人が強制労働に使用されていて、そのうち子どもが400万人以上と推計されています(ILO, WFF, IMO、2017年)。強制労働は、「最悪の形態の児童労働条約」(ILO第182号条約)で定められた「最悪の形態の児童労働」のひとつで、今すぐ無くさなければなりません。
2021年6月11日から13日にイギリスのコーンウォールで開催されたG7サミットに先立って、ACEを含む20の団体や個人がG7首脳に対して、オープン・レター(公開状)「G7首脳による強制労働に対する協調行動の必要性」を出しました。強制労働は、グローバル・サプライチェーンに存在し、私たちが日頃消費している魚、コーヒー、チョコレート、洋服など4兆円近くの製品に使われているとされています(Minderoo、2018年)。
そこで、SDG 8.7達成へ弾みをつけるため、オープン・レター(公開状)「G7首脳による強制労働に対する協調行動の必要性」では、G7首脳に対して次のような具体的な行動を取ることを要請しました。
現代の奴隷・強制労働がない世界経済を構築するために、政策協調および協調行動への資金確保についてコミットメントを示してください。
・G7は、強制労働の廃絶において競い合うべきである。
・G7は、巨大な購買力をもつ公共調達に最も厳しい基準を設けるべきである。
・G7は、報告基準や実施基準を統一し、情報共有やデュー・デリジェンスなどで協力して共通の課題に取り組むべきである。
G7サミットの成果として発表されたG7首脳宣言には、グローバル・サプライチェーンにおける強制労働根絶へコミットメントが示されました
「29.G7は、グローバル・サプライチェーンにおける人権およびILO基準を支持し、強制労働に取り組むことの重要性について合意する。人びとを強制労働から守り、グローバル・サプライチェーンにおいて強制労働が使用されないために、国内および多国間での取り組みを通じて協調を継続していくことを約束する。そのため、2021年10月に開催されるG7貿易大臣会合に先立って、グローバル・サプライチェーンにおけるあらゆる形態の強制労働の使用を無くすための協力促進と協調行動を行う分野を特定するようにG7の貿易大臣に指示する。」(ACE抄訳)
G7の首脳が2021年10月に開催されるG7貿易大臣会合に向けて、グローバル・サプライチェーンにおいて強制労働を使用しないために協調していく分野を各大臣に調べるように指示したことはとても重要です。これからの進展をACEは注視していきます。
G7首脳宣言
新型コロナウイルス感染症拡大が長期化し、世界経済に大きな打撃を与えています。今後、児童労働も強制労働も増加することが懸念されています。ACEは、「児童労働撤廃や強制労働の廃絶」を含むSDG 8.7達成に向けて、日本政府や世界各国の政府に対しても、働きかけを続けていきます。
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