製造過程におけるエネルギーの大量消費や製品の短いライフサイクルなど、ファッション業界は環境負荷が非常に大きい産業と指摘され、国際的な課題となっています。こうした背景を受け、環境省は、日本で消費される衣服と環境負荷に関する調査を2020年12月〜2021年3月に実施しました。
(レポートより一部抜粋要約)
原材料調達段階の高い環境負荷
コットンなどの天然繊維では、水の大量消費、化学肥料による土壌汚染など、ポリエステルなどの素材では、石油資源の使用、製造工場でのCO2排出など環境へ大きな負荷がかかります。
「より安く・より多く」を求める消費者
大量生産・大量消費の流れは、それを求める消費者と消費者に応えようとする企業によって作られます。衣服のライフサイクルの短期化による大量廃棄への流れが懸念されます。
企業と消費者にできること
持続可能な衣服の生産、着用、廃棄のための取り組みは日本ではまだ限定的ですが、サプライチェーンの各工程で、企業や消費者ができる取り組みはたくさんあります。また、消費者の約6割がサステナブルファッションに関心を持っていることも調査からわかりました。
ACEが考える、サステナブルファッションのために企業や消費者にできること
企業は、こうした現状を受けとめ、環境負荷低減のために製造工程の最適化を図る必要があります。また、原材料を購入する前の企画段階で、製品の多くが廃棄されるという前提のもとに行われる商品企画と生産計画の慣習を変えていく必要があります。
大量生産・大量消費のトレンドを促しているのは私たち消費者であるということを今一度認識をし、良いものを長く使うということ、廃棄ではなくリユースに回すなど、意識、行動ともに変えていかなければなりません。
また、この環境省の報告では触れられていませんが、安価な洋服の背景には、正当な賃金を支払われずに働く人々がいることも大きな課題です。大人のみならず、子どもが義務教育の機会を奪われながら、劣悪な労働状況、農薬などによる健康被害に晒されながら働く、児童労働も含まれている可能性が大いにあります。
企業、消費者ともに、ファッションによってもたらされる環境負荷の低減、サプライチェーン上の人権問題の解決に向けて何ができるか、改めて考え、具体的な行動に移していく必要があります。
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